診療内容

こころの病気を知る

こんな症状でお悩みの方はご相談ください

  • 眠れない、昼夜逆転
  • ゲームで生活が崩れている
  • 不登校やひきこもり
  • 興奮や衝動性が強い
  • 暴力などのトラブル
  • トラウマやフラッシュバックで苦しんでいる
  • 自分を傷つけたり、死にたいと繰り返す
  • 友達とうまくつきあえない

代表的な精神疾患

うつ病と双極性障がい

うつ病・双極性障がいとは

うつ病は、精神的・身体的ストレスなど様々な理由から、脳の機能障がいが起きている状態です。脳の働きがうまくいかないため、物事のとらえ方や考え方が否定的・悲観的になり、自分がダメな人間だと感じるようになります。そのため、通常なら乗り越えられるストレスもよりつらく感じてしまい、悪循環となっていきます。
日本では、うつ病・双極性障がいの診断を受けておられる方が100万人を超えており、自死、長期休務・休学、就労・就学能力の低下誘因となるなど、ご本人と周囲の人々に大きな苦しみを引き起こしています。
また、うつ病・双極性障がいは、心循環系疾患、糖尿病、がんなど身体の病気や、妊産婦の方々で多く発症される傾向があります。高齢者では認知症との鑑別がとても重要となります。
まずは患者さんご本人やご家族など身近な方々が、できるだけ病気に関する正しい知識を得ることが基本です(例えば、「病気ではなく怠けである」などの誤った考えを修正)。

主な症状

うつ病ではうつ病相が、双極性障がいではうつ病相と躁病相(と軽躁病相)が生じます(具体的な診断は、DSM-5、ICD-10という診断基準に依ります)。

  • ◎うつ病相(抑うつエピソード)
    主に、もの悲しい気持ち(抑うつ気分)と、かつて楽しみにしていたことに興味を持てず、楽しくも感じられない(興味・関心や喜びの喪失)といった症状がほぼ毎日、2週間以上続き、日常生活に支障をきたしている場合に診断されます。
  • ◎躁病相(躁病エピソード)
    主に、気分が高揚する、開放的になる、あるいは怒りっぽくなるといった気分の変化に加え、気力・活動性が変化した状態がほぼ毎日、1週間以上続き、日常生活に支障をきたしている場合に診断されます。

当院での主な治療法

うつ病は、一般的に抗うつ薬や気分安定薬、抗精神病薬などによる治療が行われますが、薬物療法がすべてというわけではなく、主治医と相談しながら治療を受けることが重要です。近年では、薬による治療とあわせ、認知行動療法にも高い効果があることが分かってきています。うつ病は治療を早めに始めるほど回復も早いといわれており、無理をせず、できるだけ早めに当院へご相談いただき、適切な治療を受けて休養をとることが大切です。また、病気の影響により、自死の危険性や日常生活への支障の程度が著しく高い場合には、入院による治療を選択することがあります。

発達障がい

発達障がい(神経発達症群)とは

発達障がいとは、生まれつき脳の発達・機能が多くの人と異なるために、社会生活や日常生活が困難になる障がいのことです。発達障がいは見た目では分かりにくく、本人の努力不足や親のしつけの問題などと誤解されることも少なくありません。
発達障がいには、知的能力障がい(知的障がい)、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、チック症群、発達性協調運動症、情動運動症などが含まれます(DSM-5)。
症状は幼児のうちから現れ、通常の育児ではうまくいかないことがあります。本人や家族・周囲の人が発達障がいの特性をよく理解し、その人にあった日常生活や学校・職場での過ごし方を工夫することができれば、本来持っている力をいかすことができるようになります。

主な症状
  • ◎自閉スペクトラム症(ASD)
    子どもの場合
    典型的には1歳台で、人の目を見ることが少ない、指さしをしない、ほかの子どもに関心がない、などの様子がみられます。対人関係に関連したこのような行動は、通常の子どもでは急速に伸びるのと違って、自閉症スペクトラム障がいの子どもでははっきりしません。
    ・一人遊びが多く集団行動が苦手
    ・自分の話したいことしか口にせず会話がつながりにくい
    ・自分の好きなことや興味のあることには、毎日何時間でも熱中する
    ・初めてのことや決まっていたことの変更は苦手で、なじむのに時間がかかる、など

    成長するにつれ症状は変化し、人それぞれに多様化します。
    思春期や青年期になると、自分と他の人との違いに気づいたり、対人関係がうまくいかないことに悩んだりし、不安症状やうつ症状を合併する場合があります。就職してから初めて、仕事が臨機応変にこなせないことや職場での対人関係などに悩み、自ら障がいではないかと疑い病院を訪れる人もいます。子どもの頃に診断を受け、周囲からの理解を受けて成長した人たちの中には、成長とともに症状が目立たなくなる人や、能力の凸凹をうまく活用して社会で活躍する人もいます。
  • ◎注意欠如・多動性障がい(ADHD)
    7歳までに、多動-衝動性、あるいは不注意、またはその両方の症状が現れ、
    そのタイプ別の症状の程度によって、
    多動‐衝動性優勢型、不注意優勢型、混合型に分類されます。
    多動‐衝動性:
    座っていても手足をもじもじする、席を離れる、
    おとなしく遊ぶことが難しい、じっとしていられずいつも活動する、
    しゃべりすぎる、順番を待つのが難しい、
    他人の会話やゲームに割り込む、など
    不注意:
    学校の勉強でうっかりミスが多い、課題や遊びなどの活動に集中し続けることができない、話しかけられていても聞いていないように見える、やるべきことを最後までやりとげない、課題や作業の段取りが下手、整理整頓が苦手、宿題のように集中力が必要なことを避ける、忘れ物や紛失が多い、気が散りやすい、など

当院での主な治療法

当院では、下記のようなプログラムにより発達障がいの的確な診療に努めています。
治療においては、多職種によるチーム医療でサポートします。

  • ◎コグトレ
    社会面(認知ソーシャルトレーニング)、学習面(認知機能強化トレーニング)、身体面(認知作業トレーニング)という3方面で子どもを支援する包括的なプログラム。
  • ◎ブレインジム
    体を動かすことで脳を活性化させて統合し、本来持っている能力を引き出す教育プログラム。目的に合わせた動きをすることで、頭、体、心を整えます。
  • ◎タッチフォーヘルス
    軽く触れたり、刺激するだけでエネルギーや筋肉のバランスを整え、健康につなげるプログラム。

治療抵抗性統合失調症

統合失調症とは

統合失調症は、こころや考えがまとまりづらくなってしまう(統合する機能が失調する)病気です。
そのため気分や行動、人間関係などに影響が出てきます。統合失調症には、健康なときにはなかった状態が表れる陽性症状と、健康なときにあったものが失われる陰性症状があります。陽性症状の典型は、幻覚と妄想です。幻覚の中でも、周りの人には聞こえない声が聞こえる幻聴が多くみられます。陰性症状は、意欲の低下、感情表現が少なくなるなどがあります。
統合失調症は青年期に発症し、約120人に1人が罹患する精神疾患です。発症の原因は正確にはよくわかっていませんが、統合失調症になりやすい要因をいくつかもっている人が、仕事や人間関係のストレス、就職や結婚など人生の転機で感じる緊張などがきっかけとなり、発症するのではないかと考えられています。

治療抵抗性とは

統合失調症に関しては、新しい薬や治療法の開発が進んだことにより、多くの患者さんが長期的な回復を期待できるようになっています。しかし、お薬(抗精神病薬)をきちんと服用しても症状が良くならない場合があり、これを「反応性不良」といいます。
また、副作用が原因で必要な量のお薬で治療ができず、病状が良くならない場合もあり、これを「耐容性不良」といいます。この「反応性不良」と「耐容性不良」をまとめて「治療抵抗性」といいます。

当院での主な症状

病気の発症に先立って(前駆期)、落ち着きのなさ、抑うつ、不安、集中困難、自信欠如、エネルギーの欠如や緩慢さ、仕事能率の低下、社会的引きこもりなどがみられることが多いと言われています。
病気が発症すると、非常に多彩で特徴的な症状が出現しますが、全ての患者さんが同じ症状をあらわす訳ではありません。症状例としては、幻聴、妄想、自我障がい(自分の考えや行動が自分のものであるという意識が障がい)、連合弛緩(会話の文脈がまとまらず、筋が通らない、自発性減退)などがあります。慢性期では、自発性が減退したり、感情が鈍くなるといった陰性症状が主体となる方が多くなります。

当院での主な治療法

自分が病気であることを受け入れること(病識の獲得)が難しい場合が多く、患者さん本人だけでなく、周囲の方々が正しい知識と理解を得ることから治療が始まります。その上で、薬物療法と作業療法(OT)や社会生活技能訓練(SST)などの心理社会的療法を組み合わせた治療を長期にわたって続けて行くことになります。

認知症

認知症とは

正常に働いていた脳の機能が低下し、記憶や思考への影響がみられる病気を「認知症」といいます。初期は「加齢による物忘れ」と思えるかもしれませんが、憂うつ、外出がいやになる、気力がなくなる、被害妄想がある、話が通じなくなる、外出時に迷子になる、お金の計算ができなくなるなどといったサインが出てきたときは、当院にご相談ください。
認知症のおよそ半数は「アルツハイマー型認知症」です。2番目に多いのが「レビー小体型認知症」、3番目が「血管性認知症」で、これらは「三大認知症」といわれ、全体の約85%を占めています。
現在の日本では、高齢人口の増大により500万人以上の方が罹患していると予想されています。

主な症状

もの忘れには、正常なものと認知症をうたがえるものがあります。正常なもの忘れと認知症によるもの忘れの違いの区別ができればよいのですが、現実にはなかなか難しいものです。これが全てではありませんが、認知症に気づくためには、次のような目安が役立ちます。

  • ・もの忘れの為に日常生活に支障をきたしているか

    日常生活で重要ではないこと(タレントの名前や昔読んだ本の題名など)を思い出せないのは正常の範囲内ですが、仕事の約束や毎日通っている道で迷うなどの場合は認知症のサインかもしれません。
  • ・本人が忘れっぽくなったことを自覚しているか

    自分でもの忘れの自覚がある場合は正常の範囲内ですが、もの忘れをしていることに気づかず、話の中でつじつまを合わせようとするようになるのは認知症のサインかもしれません。
  • ・もの忘れの範囲は全体か
    経験の一部を忘れるのは正常の範囲内ですが、経験全体を忘れるのは認知症のサインかもしれません。

  • ◎BPSD(認知症の行動・心理症状)
    幻覚や妄想、抑うつ、不安、易怒性、睡眠障がい、徘徊などがあります。ただし、BPSDは全ての認知症患者さんに認められる訳ではありません。
当院での主な治療法

薬物療法(抗認知症薬)と非薬物療法(様々なリハビリテーション)が行われます。

摂食障がい

摂食障がいとは

食行動を中心に様々な問題があらわれる病気が摂食障がいです。体重や体型の感じ方が障がいされ、明らかにやせていても異常と感じられなくなる「神経性やせ症」、食のコントロールができなくなり、頻繁に過食をしてしまう「神経性過食症」のほか、「過食性障がい」などがあります。

摂食障がいは生活の質を悪くしてしまう心の病気で、長期間にわたって苦しんで
いる方が少なくありません。しかし、根気強く治療を続けることができれば、
摂食障がいを治すことができます。

主な症状
  • ・神経性やせ症
  • ・神経性過食症
  • ・過食性障がい

当院での主な治療法

医師・看護師・管理栄養士が連携して個々の患者さんに合わせた様々な治療を行っています。

  • ◎浜松医科大学の治療プログラムなど
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